プロボクサー井上尚弥の強さの一端が垣間見えた「勝ちスイッチ」

井上尚弥 勝ちスイッチ

ある日、テレビニュースでふと目を止めたのがWBA、WBC、IBF、WBOのボクシング4団体による各階級の頂点を決める大会「WBSS(World Boxing Super Series)」でした。

おっ、ボクシングでそんな大会やってるんだあ、と思いながら取り上げられていたのが、本大会にバンタム級で出場していた井上尚弥選手でした。

自分は格闘技ではK-1やキックボクシングといった立技系はが好きでよく見る一方で、ボクシングに関してはあまり詳しくなかったりするのですが、彼の試合でのその動きと破壊力のあるパンチひと目見て、これは凄い選手だ・・・となりました。

そんな井上尚弥選手はWBSS決勝であのノニト・ドネアを倒し優勝しましたが、その決勝戦の当日である11月7日に発売したのがこの「勝ちスイッチ」です。

「勝ちスイッチ」は秀和システム様より献本いただきました。

井上尚弥選手とは

1993年生まれで、神奈川県出身。現在27歳。
大橋ボクシングジム所属。

ボクシング一家で高校生時代は初となるアマチュア7冠という偉業を達成、その後2012年にプロデビュー。

デビュー後の翌年には国内男子最短で日本ライトフライ級王座、OPBF東洋太平洋同級王座に輝き、その後WBC世界ライトフライ級、WBO世界スーパーフライ級、そして2018年にWBA世界バンタム級王座を獲得して3階級を制覇。

2019年にIBF世界バンタム級を獲得、そしてWBSSでは決勝でノニト・ドネアを倒し、現時点でプロとしては無敗、パウンド・フォー・パウンドにおいても現在3位に位置づけられ世界的に評価されているボクサーです。

輝かしい実績で天才と呼ぶにふさわしいですが、本人は自分は天才ではないと言っています。

その理由は後ほど。

「勝ちスイッチ」目次

  • まえ書き
  • 1Round 勝利スイッチ
  • 2Round 決戦スイッチ
  • 3Round 思考スイッチ
  • 4Round 肉体スイッチ
  • 5Round モチベーションスイッチ
  • 6Round 最強スイッチ
  • 7Round 未来スイッチ
  • あと書きのようなもの

ボクシングらしく各章をラウンドに分けて、井上尚弥が考えていること、彼の半生が語られています。

井上尚弥は天才ではない

「僕は天才ではない」

これが1R 「勝利スイッチ」の最初の言葉です。

彼にとっての天才の定義は「何もしていないのにできる人。努力しないで才能をリング上で発揮できる人」としていて、ボクシングなら辰吉丈一郎さんの名を上げています。

この1冊を読めばわかりますが、井上尚弥選手の華やかな結果の表面だけから見たらわからない、その裏側にある理想や目標のためにやるべきことを日々やりつづける継続と努力から成り立っていることがうかがえ、彼のこの発言はイチローの考えとも通じるところがあります。

勝利をデザインする「作業」

井上尚弥は勝利にたどりつくための表現を「作業」と呼んでいる。

独特な表現ではあるが、彼が本書で語っている勝利までのプロセスはまるで一流の職人が1つの作品を作り上げるがごとくであり、リング上で「勝利」という結果を出す「プロ」としての姿勢をひしひしと感じました。

作業はミリ単位だ。パンチを外すことも、当てることも、ミリ単位のディティールをとことん追求していかねばならない。

ここから試合前日の計量日までの二日間は基礎代謝だけに頼り絶食で落とした。
人間は何もせずとも細胞分裂が行われるため自然に基礎代謝が起き、汗などで体重が落ちる肉体のメカニズムになっている。

一部略

それでも寝る前に体重計に乗ると、リミットまで残り200グラムにまで迫っていた。そして最後の一晩を寝て、朝、目を覚ますと最後の200グラムが落ちていた。落ちるとは信じていたが、体重計のメモリを確認すると、全身の力が抜けるほどの安堵感に包まれた。

相手との試合における駆け引きによる攻防の技術を磨き、苦しい減量もしっかりとこなす。

彼のこの綿密な作業によるしっかりとした準備と意識があるからこそ、自信と強さをもってリングに上がり勝利を得られている。

そして彼は「ボクサーに物語は必要ない」と言っている。

見せたいのは「プライベートな写真ではなく、感動と共感を呼ぶボクシングなのだ」とも。

井上尚弥のポリシーである「リング上のパフォーマンスがすべて」、そこには「プロ」としての生き方と強さを感じさせる。

ゴールから逆算する

彼は本書で35歳となる2028年の引退を設定していると語っている。

よくビジネス本などでも言われたりすることがですが、彼も明確に設定することで逆算してそれまでの取り組みを考え、だからこそ一戦一戦を無駄にできないものとして、リングに上がれるのでしょう。

本書は他にも家族のことそれぞれの試合相手に対してどう考えて戦ってきたのか頭に浮かぶような描写もあり、彼の強さを作っている様々な要素が語られています。

純粋にボクシングファンとして楽しめるだけでなく、人生や仕事に対しての取り組み方や意識を改めて考えさせられる1冊となっています。

2028年、どんな井上尚弥になっているのだろう

井上尚弥がリングを降りる2028年、彼がレジェンドと呼ばれる存在となっているのか、そして理想とするボクシングにたどりつけているのか。

どんな井上尚弥選手になっているのか楽しみです。

そして自分にも目指すべき目標があります。

彼がリングを降りる時、自分はこの8年間いったい何をやっていたのだろう。

そう思わない生き方をしていきたい。

秀和システム (2019-11-07T00:00:00.000Z)
井上尚弥(著)