「LEGO」が生まれたデンマーク、世界で最もクリエイティブな国とされるデンマークの多数の事例を通して多面的に分析し、クリエイティビティの源泉を探っていくのがこの本書。
「世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方」はインプレス様より献本いただきました。
「世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方」目次
CHAPTER1 誰もがもっとクリエイティブになれる!
CHAPTER2 既存の枠の限界ぎりぎりへ足を踏み出す
CHAPTER3 情熱は創造プロセスの原動力-ウィー・ラヴ・ピープル(広告会社)
CHAPTER4 人魚姫とデートする-ビャルケ・インゲルス(建築家)
CHAPTER5 受け継がれる天才の仕事-アンドレアス・ゴルダー(アーティスト)
CHAPTER6 疑念と不安を力に変える-ソレン・ラステッド(AQUA)アレクサンダー・グルピン(バレエダンサー)
CHAPTER7 ブレイクスルーを得る方法を見つける-ケネト・ベーヤ(DJ)
CHAPTER8 薬物でクリエイティビティは高まるのか?
CHAPTER9 クリエイティブな企業文化-LETT法律事務所ラクトサン(チーズ製造)
CHAPTER10 ブレイクスルーの快感、クリエイティブな作業空間-ペアニレ・オーロン(作家・雑誌編集者)
CHAPTER11 既存の枠の限界ぎりぎりで仕事をする-人気ドラマ、青いゾウ、そしてレゴ
CHAPTER12 ビジネスにおける情熱-インゴルフ・ゲーボルト(TVドラマ制作者)
CHAPTER13 クリエイティビティを管理する-王立劇場、軍、テレビ局
CHAPTER14 マニフェストとアイデアの爆発-世界一のレストラン・ノーマ
CHAPTER15 従業員から創造性を引き出すには-ノーマのサタデー・セッション、レゴ、アイデアを生み出す組織
CHAPTER16 隠れた鉱脈を探す-エイミー・ジェイムズとtattodo.com
CHAPTER17 学校とクリエイティビティの再生-ヘアロフスホルム校
CHAPTER18 デンマークのクリエイティビティモデル
薬物で創造性は高まる?
ちょっと興味深かったのが、CHAPTER8の「薬物でクリエイティビティは高まるのか?」。
時折日本でもアーティストがその創作活動のために薬物に手を出して逮捕されるという話がありますが、クリエイティビティを求めるがゆえの負の側面にもインタビューで切り込んでいます。
大半はクリエイティビティに薬物は必要ないとし、何人かが薬物経験はあるとしつつも、逆にクリエイティビティを停滞させてしまうこともあるとしています。
本書ではクリエイティビティにはドラッグを摂取をしたほうがいいという結論にはなっていません。
ただクリエイティビティに優れた人は優れているがゆえに、時に精神的な問題を抱え、それゆえに手を出してしまうのかなと思いました。
「ゼロからイチ」ではなく「イチからアルファ」を生み出すという考え方
クリエイティブ(創造)という言葉を聞くと既存の枠組みにとらわれず、無から有を生み出すようなことをイメージする方も多かと思いますが、この本ではクリエイティビティを以下のように定義しています。
「クリエイティビティとは、既存の枠の限界に立ち、そこを探索し、限界をさらに押し広げることである。」
本書のそれぞれの事例においてもこれは共通していることで、既存の様々なものを分解したり、それぞれを新たな形で結びつけたり。
既存の事象を反対側から見ることで新たな視点に気づき、枠の限界に立ってその限界をさらに押し広げていることが書かれています。
逆に枠から外れてしまうことは、どんなにそれが創造的でも多くの人に受け入れられない可能性が高いとしています。
(もちろん枠から外れることで生まれるイノベーションもあるわけですが。)
また、クリエイティブというと、天才的な一個人によるものに思われがちですが、そうではなく人や社会との関係、環境はクリエイティビティを発揮させるものとして分断できないものであり、誰でもクリエイティブな人になれるとしています。
ここでは書ききれないぐらい各事例ごとにポイントがまとめられており、個人での発想方法だけでなく、企業単位での社員の創造性を発揮させるためのヒントが随所にあります。
クリエイティビティに興味のある方はぜひ一読をオススメします。